出産のリスク

今は母子ともに健康で日々成長する子供を見てるのはすごくうれしかったりするのですが出産直後はそれはもう不安とあせりでいっぱいだった。
出産を経験している人は周りにもいっぱいいて、妊婦は痛みはとてつもないものの母子ともに健康で生まれてくるのが当然だと思っていた。
立会い出産だったのだけれど朝方に赤ちゃんが生まれ妻の横に赤ちゃんを置いた直後、先生や看護婦さんがあわただしくなる。出血が思った以上に多くその血がなかなか止まらない。状況としては子宮内反症の状態で、これは子宮の一部が胎盤といっしょにはがれてしまいひっくり返ってしまう状態で、状態によって子宮が外に出てしまうこともあるらしい。症例としては8,000から10,000人に1人に起こる事例らしくそれを直すのにはまず子宮内に手を突っ込んでひっくり返った子宮を整復することが必要になります。
妻の場合も筋肉注射による麻酔、そしてマスクを使った全身麻酔をしながらその整復を行いました。
一度目ではうまくいかず、救急車による大病院への緊急搬送の手配を行いながらの何度目かの整復処置でなんとかうまくいったようです。ただこのときの痛みは出産の時の痛み以上のもので何度も痛いと叫んでいた。
整復作業が終わっても出血がひどく意識がなんとかある状態で手を触ってみるととても冷たかった。
後で聞いたところによると出血は2,000ml近くあり血圧も上が70、下は計れない状態だった。
整復作業中、何度も血圧計のアラームが鳴り、そのたびに妻に声をかけたり、生まれたばかりの赤ちゃんを妻に見せて元気付けようとしていた。
しばらくして救急車が到着し、赤ちゃんを産院に残して大学病院に搬送された。
大学病院でも処置を行い、輸血も行った。輸血にもリスクがあるが出血がひどく輸血以外の選択肢はなかった。
入院は2泊3日で無事に元の病院に戻ることができ、無事に親子三人でいっしょに過ごすことができた。
また処置がよかったせいか子宮の機能にもなんら問題はなく次の出産も可能だそうです。
あんなに痛い思いをしても妻はもう次のことを考えていて、妻のパワーというか気持ちにはほんと驚くというか、感心するというか。ほんとに母は強しです。
出血が2,000mlというのは男性ではかなり危険な出血の量になるそうです。女性でしかも妊婦だと体が出産に備えて血を薄くするそうです。だから出血が多くても耐えられたというのはあるそうです。
ちなみに献血では200mlや400mlが多いそうです。私もこの後献血をしました。これは妻の輸血のお礼でもあります。